岩泉町での活動報告(2017年8月〜12月)
掲載日:2018年1月18日
岩手県岩泉町での森林整備活動8月~12月実施分の報告です。
平成29年度の岩泉町での新たな森林整備活動は、昨年12月でほぼ終了しました。平成29年4月から9ヶ月間の活動でしたが、準備期間を含めると1年強に亘ります。
初めての広葉樹林での活動、全体で200ヘクタールを超える広大な面積、泊まりがけ作業、GPS端末の活用、傾斜のきつい現場での作業、作業路がない場所からの集材など、初めて経験することの多い日々が続きました。20年間のスパンでの事業構想・計画の立案、対象森林関連図面の取得および精査、地元関係機関との連携、山主との契約締結、法人内部の調整・行政手続きなど、春からの活動に備え前年秋から考えうる準備を整えスタートした活動でした。
平成29年度の活動の主な目的は、原木しいたけ用ホダ木(コナラ)の生産しながら、資源循環の出来る森作りを目指した森林整
備です。本年度は4,000本以上の出荷を目指し、作業の支障となるコナラ以外の立木や灌木(かんぼく)の整備、伐採木の搬出と伐採後の林地整備を中心に9月まで作業を実施してきました。
そして10月初旬を目安に、出荷用のコナラの伐採をスタートしました。立木は伐採後一定の長さに玉切りして11月から出荷し、生産農家さんへ何度か納品しました。
平成29年度に新たにスタートした活動ですが、団体の核となる事業とて定着をさせるためにも、”初年度だから”、”初めてだから”という言い訳はせず、成果をだしたいという想いで取り組んできました。結果、12月末段階で5,000本を上回るホダ木の生産を完了し、複数の原木シイタケ生産農家さんに納品することができました。
一般的に出荷されているコナラ材の標準規格は末口直径7㎝~14㎝ですが、私たちフォレストサイクル元樹が出荷するコナラ材は、長さ90㎝×末口直径7㎝~20㎝です。納品先の原木シイタケ生産農家さんによっては20cmくらいの太さを希望される方もいて、複数の農家さんに納品させていただきました。
作業手順や方法も針葉樹とは異なることも多く試行錯誤の連続でした。
伐採後、規格にあった末口直径7㎝以上のものから玉切りを始め、「キャリパー」という専用の道具を使い径を測り、どこを測っても7㎝超えることを確認し玉切りしました。長さが足りない太い部分が最後に残ります。
また、広葉樹の伐採時には、近くの立木の枝等に掛かり倒れない「かかり木」が多発し、少々リスクの高い作業をすることもありました。
玉切り材を集める方法も、色々と試しました。
ホダ木は、スギと違い樹皮になるべく傷をつけないことが求められます。傾斜が30°近い斜面では、機材を持って移動するだけでも体力を消耗するため、「トイ」を使った集材にもチャレンジしました。
昔は山の現場でやっていた方法のようですが、現在ではやっている人はいないようで、ネットで検索しても情報がありませんでした。森林組合や年配の人に知っている人がいたでの、聞いた内容をイメージし資材を準備しました。
最終的に使ったのは、コンクリートやモルタルの型を取る為に使われている厚ダンボールで作られた「250㎜ボイド菅」を2mにカットした後半円に割り、その前後2箇所づつ穴を開けて、重ねた穴同士を結束バンドで繋いで連結し必要な長さを確保するというものです。軽量ですが強度があって抵コスト、消耗品ではありますが複数シーズン使えることも確認できました。
更に29年度は、伐採時期に新しい作業路を1本新設しました。
作業路を使っての作業も初めてであり、”スイッチバック(バックでの登り降り)”も初めての経験で傾斜15°の斜面をちゃんと登れるのか、材を積んだ状態で崖下に落ちることなく降りれるのか、最初は恐々の作業でした。斜面途中で車を停める時のギアの入れ方やタイヤの操作など知らないことも多く苦労した反面、作業路を使った伐採や玉切り、集材作業の効率の良さには驚いています。
30年度も新たに作業道を1本新設しようと考えています。
岩泉での活動場所は町内でも雪の多いエリアで、冬場に入り雪が降る始めると春先まで雪が消えることがありません。
山に入っての作業が難しく、それ以上に材を林外に出す方法がなくなので、当初から12月で一旦終了する計画でした。12月の最終日に作業路入口付近の雪が溶け始めたためトラックで入ってみましたが、途中で雪で滑って身動きが取れなくなり、崖下に突っ込む危険もあったため、ウィンチを使いトラックの頭を切り替えし何とか脱出することが出来ました。
雪道での搬出だけでなく、傾斜のきつい斜面での作業時の荷物・機材の運搬、集材用トイの移動、斜面上の玉切り材の集材など、宮城に戻ってからこれらの問題をクリアするために、ゴムクローラー(キャタビラ)運搬車も新たに導入しました。750㎏積載車である程度の傾斜も登れます。今月か来月に現地の積雪状況を見て数日間試す予定です。
30年度は、29年度実施した作業に加え、萌芽更新した付近の不用樹除去作業にも取り掛かる一方、昨年の作業内容を検証し時間あたりの施業内容の充実を目指し、結果に繋げたいと思っています。